プレッシャーアンカーの変形と、そのコラムへの影響について

この前コラムが割れて予定外に2万円を出費することになった玉置です。

 

titechcycling-racer.hatenablog.com

この記事では、コラムが割れた原因をステムの締め過ぎとしていますが、いくら手で締めたからと言って、そんなに締めすぎることある?注意して締めたつもりだったし...ってモヤモヤとしていて、ヘッド周りを調査したらプレッシャーアンカー(アンカーボルト、アンカーナット、単にアンカーなどなど色々名前がありますが...)が変形していたことが判明しました。

 

プレッシャーアンカーとは?

プレッシャーアンカーはヘッドパーツを正しい位置に導くためのコラムの内部に挿入するパーツで、カーボンコラム時代においては、ステムの締め付けに対する反力として内側から圧力を与えることによって、ミーゼス応力に近い状態にし、破壊強度を高めることを目的とした部品である(機械系出身者らしく言ってみた。ってか言いたかっただけで、ミーゼス応力は副次的であまり関係ないです。コラムの外と内側のどちらからも力を加えましょうね、ってことです。あと言葉としてのミーゼス応力の使い方についてはつっこまないこと。教授によってはこの文脈でこれを使うことがある。)

アンカーについて詳しくはこちら↓↓↓

innertop.com

なお、英語名はHeadset Compressorというらしい。知らんかった。

 

で、なにが起きたの?

通常、プレッシャーアンカーはコラムの内側にピッタリとくっつき、ステムのクランプ部分の圧力に相対するように作用するですが、今まで使っていたアンカーはこうなっていました。

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見て明らかなように、アンカーの中央付近が内側に歪み、直線である机の面に対して隙間ができているのがわかります。このアンカーはすでに4年使っており、幾多の振動と衝撃にさらされ、かつ過去に何度もステムの交換を行なったため、歪みがたまり、それが結果としてこのような形になったと考えられます。詳しくは材料力学の「応力歪み曲線」と「ヒステリシス」で調べるとわかります。

よって、新たにステムを装着した際に、溜まった疲労によって変形したアンカーとコラムの間に隙間が存在し、それによって内側からの支えを失ったコラムは(ジャンプなどの乱暴な乗り方をする筆者の)衝撃に耐えられず、割れることでそのエネルギーを吸収してきたと考えられます(詳しくは破壊力学でギブスエネルギーで調べてね)

 

また、これまで使っていたこのアンカーの形状も問題の一部であると推測されました。

今回新たに購入したアンカーは以下のシマノプロの物なのですが、

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これまでのアンカーと異なる構造をしており、コラム内部に触れるパーツの厚さが大きく異なります。

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薄い素材のの過去のアンカーでは変形が起こりやすく、4年間で変形してしまったと考えられます。

 

ここまではレポート

 

んで、せっかくなので新しいアンカーのインプレ

購入したのはShimano PROのアンカーで50mmのロングタイプ

www.amazon.co.jp

これは日本のアマゾンのリンクなんだけど、なんか知らんけど英語になっちゃう。まあ読めるっしょ。

なんで長いのを選んだかと言うと、長いとステムの高さ以上にコラムの下までアンカーが挿入されて、アンカーがコラムの構造の一部となり、コラム部分の強度と剛性を高めるから。ちょっと重くなるけど、別にクライマーじゃないので問題なし。

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こんな感じでダストキャップの下までアンカーが伸びるので、ダストキャップまでをより一体構造とみなせるようになり、また、ステム径よりも大きなダストキャップのベアリング接触円の直径からより曲げ剛性が高くなると期待。

取り付け時に何度かコラム内にアンカーを落として難儀した以外は簡単に取り付けられた。剛性も上がった気がする(よくわからん笑)(追記 普段ホームコースでLocal Legendを奪い合ってる人とエンカしてレース走で全力でもがいたら、明らかに剛性が高くなってた。いい感じ)

 

コラムの破壊はカーボンの宿命で、サーベロも内側に金属の円筒を接着剤で貼り付けたりするらしいし、やはりそれなりの対策が必要みたい。各自ちゃんと定期的にチェックして、その上でコラムの破壊が気になる人はアンカーの買い替えをお勧めします。